大判例

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福井簡易裁判所 昭和63年(ハ)30号 判決

(抄録)

「……、Yの妻Fは、Yに代って本件条項の記載された覚書に署名捺印した事実が認められるが、これとともに次の各事実を認めることができる。

(一) 供給機器の費用負担は、ガスの販売価格とともに顧客と業者との相対取引で決められるのが原則であるが、福井県のLPガス業界では、顧客に右機器代金を請求しない業者もあること、Xにおいても、顧客が転勤等により取引を中止する場合は、これを徴収しない事例があること

(二) 顧客が、LPガス取引を中止した場合、当該顧客用に設置した供給機器は、再使用が困難であるため、結局同機器代は業者負担としてその損害に帰することもあるが、右損害の大小と取引期間の長短とは反比例するものであること

(三) いわゆる液化石油ガス法に基き、Xが顧客に交付する通知書には『配管及びその付属機器等のLPガス諸設備に要する費用は原則としてお客様に負担していただきます。又は別途申入書のとおりとします』という記載があるところ、前記覚書が右申入書に該当すること

右覚書には、本件条項が第二項として記載されているほか要旨次の如き記載があること

(1)(冒頭部分)

XとYは、LPガスの供給契約に基き供給機器の貸借について相互確認をした。

(2)(第一項)

XとYとの円滑な取引が継続する限り本件機器を無償貸与する。

(四) Fにおいては、本件機器については、Xより無償貸与を受けたものと考えており、これを買取ったという認識は全くないこと

以上の事実並びに弁論の全趣旨によれば、本件機器はXからYに売り渡されたものではなく、無償貸与されたものであると認められる。

また、本件条項は、顧客が供給機器の設置を受けた後、相当期間経過前に、理由もなくXとの取引を中止し、Xに損害を及ぼすような場合に適用される趣旨のものと解するのが合理的である。

Yが八年間に亘りXからLPガスの購入を継続して来たことは当事者間に争いがなく、右相当期間を経過したものと認められるから、本件条項を適用される場合にはあたらない。」

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